変形性膝関節症
2021年12月3日
目 次
変形性膝関節症はどんなもの?
年々膝が痛む・・・。だんだんと痛みが強くなってきたのでなんとかしたい!
自宅でストレッチやケアはないの?
そんな風に思う方は多いと思うので、今日は「変形性膝関節症」の事と「効果的なストレッチ」について記事にします。
こんな痛みが出たら要注意!
- 正座やしゃがむのが出来なくなってきた
- 歩いたり体重をかけたりすると痛い
- 階段を下りる時に痛い
- 動き出しが痛い
- 朝起きた時に痛い
また「膝に熱を持つ」感覚があると、すなわち「炎症が起こって」膝関節周りが温かくなっていると、手で触っても分かりやすいと思います。見た目の変化ではこういったこともあります。
O脚はご存知ですか?あれは単純に股が外側に開いているだけではありません。
「膝が外側に開いてくる」→「大腿骨が外旋(正面から見て外側に捻られる)」→「脛骨が内旋(正面からみて内側に捻られる)」もしている状態。
こういう人はほぼ腰が曲がり、骨盤が後ろに傾いています。それを補うため、体の様々な場所に影響が出てきますので、これもまた注意が必要。
膝関節の基本情報
そもそも「膝の関節」とはどんな構造なの?という疑問がわいてくるかと思います。
膝の関節は、上の大腿骨(だいたいこつ)と下の脛骨(けいこつ)によって構成されています。
膝を曲げ伸ばしする時に下の脛骨が軸となり上の大腿骨が滑り、転がりながら動きます。大腿骨・脛骨それぞれに関節軟骨があり、その間には半月板と呼ばれる緩衝材、関節の安定性の役割をしているものがあります。
また、膝蓋大腿関節とは「膝蓋骨(膝のお皿)」と「大腿骨」で構成されています。
ここまでが、基本的な膝の構造になりますので、自分で触りながら「あー、この位置か」と確認してみてください。膝の痛みで気になるケースは、本日記事にしている「膝の変形」が多いと思います。
膝の変形も正しい知識と理解があれば痛みの緩和や予防に繋がりますので、ぜひ読み進めてください。
膝の関節が「変形」するということについて
なぜ変形する?
膝の基本構造を理解できたら、次は「その膝の関節部分が変形する」について知識を深めてください。
上の図は左上の正常の状態から右下へ進むにつれて、症状が悪化してきている様子を図解したもの。
大腿骨と脛骨の形に変化が見られますね。軽症から重症までで変形の仕方が違うのが見てわかると思います。非常に勘違いが多いのはこの部分ですが
軽症・重症は変形度合いの話で「痛みの度合いとは違います!」また、形が変わったものは治りません。
え?じゃぁもう、自分の膝は絶望的?
そう思われた方へは朗報かもしれません。
今日は効果的なストレッチ方法も含め記事にしていますので、この後話していく事を実践すれば悪化を防ぎ、今よりも痛みを減らすことが出来ます。
膝関節の変形による痛みのメカニズムは「筋力・筋肉の柔軟性・動き」に着目
上記した「変形がすごい=痛みが強い」は完全な誤解です。正確には、
変形している時(時期)が痛みを発している
のです。変形が完了すると見た目はともかく変形しているときほど痛みは出ません。(※ここでは変形と痛みの関係性を話しますので、他の原因での膝の痛みについては除きます。)
しっかりした膝関節は以下3つが揃っていることが大事になります。
- 完全屈曲(正座や和式トイレ座りができる)
- 完全伸展(仰向けで寝たとき、床と膝裏に隙間がないこと)
- 支えるための筋力
しっかり揃ってると膝の関節寿命は延びますが、一つでも破綻してくるとバランスが崩れ変形の要因にもなったりします。
変形はこれが破綻し支えきれなくなったとき、膝関節の接地面積を広げるように変形し、変形中は安定性もないため支えきれず痛みが出るということです。
変形の理由
- 完全屈曲・伸展不能の影響
- 筋力低下の影響
- 遺伝的要素(骨格が似る)
- 半月板や前十字靭帯等の膝関節安定機構へのダメージ
- 体重
- 性別による要因
膝関節は完全屈曲や伸展をした時に、関節の安定力が高まり膝を支える能力がありますが、完全屈曲や伸展が出来ないと安定力がなくなり膝を支えづらくなり、関節に負担をかけます。
そうすると、支える面積を増やそうと変形が始まってしまう訳ですね。
膝の変形は内側が多いですが、これも筋力低下が大きく関係しています。
膝の支えになる大事な筋肉は大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という内側広筋、外側広筋、大腿直筋、中間広筋の4つからなります。
この中で変形に関して一番関係あるのは内側広筋。内側広筋が筋力低下し内側の関節への負担が増え、変形が始まります。
内側広筋が筋力低下しやすい理由は、この筋肉が瞬発力などの素早く動くのに必要な筋肉で、こういう動きをしなくなるとどんどん筋力が低下して、支える力がなくなっていくから。
膝が痛いって言ってる人のだいたいは内側の方が痛いと訴えていますね。
膝を支える内側、真ん中、外側の3つの割合は
(内側・真ん中):外側=7:3
と内側は支えるのにとても重要な筋肉ですが、「筋力が落ちやすい」ため正しい鍛え方をしていく必要があります。鍛え方は対策・予防の項目で話していきます。
膝の変形が強い親を持つ娘さんの来院時に観察してみると、40代前半の痩せ体系なのに、視診上もエコー観察時も親と同程度の膝の変形を認めました。
軟骨や半月板は20歳を超えると水分の含有量が減少していくので、日常生活をしているだけで徐々に消耗していき、段々と機能が落ちていきます。
スポーツ選手など通常より酷使している方は消耗も激しい分、早く変形する人もいます。
更に半月板損傷、靭帯損傷を起こすと関節の安定性が損なわれる為、早期に変形する可能性が高いです。人間は車みたいに部品交換をするわけではないので、使っていく中での消耗はある程度は仕方がないですけどね。
筋力量にもよりますがやっぱり重いよりは、ある程度軽いほうがいいですね。
膝には色々な動きの際、瞬間的に体重の何倍もの負荷がかかってきますから軽いほうが負荷は少なくなるのは必然です。
では体重による膝へのダメージを簡単な表にしてみましょう。
状況 | 膝への負担 |
歩く時 | 体重の2~3倍 |
階段昇降時 | 体重の5~7倍 |
走る時 | 体重の10倍 |
仮に体重が50kgの人でも階段の昇り降りで瞬間的に250~350kgもの負荷が元々膝関節にはこのような負荷に耐えられる構造・機能がありますが、やっぱり体重が多いより少ないほうが膝には優しいですね。
女性はホルモンの影響で変形になりやすいと言うのもあります。
無理なダイエットによりホルモンバランスを崩したり、また閉経後では女性ホルモンのエストロゲンが減少することにより、骨が弱くなり骨粗鬆症になりやすいと言われています。
そうなると膝を支えきれなくなり、負担が掛かりやすくなります。
また、男性に比べ女性ではO脚になりやすく、筋肉量が少ないので太りやすい傾向にあります。こういった事から、男性よりは女性の方が影響を受けやすいでしょうね。
その差はなんと1:4と女性の方が多いのです!(男性の4倍も!)
年を重ねる=膝が変形する これは間違いです
よく患者さんから、膝が痛くてレントゲンを撮ったら整形外科の先生から膝が変形している【老化現象ですね】と言われた。
と聞くことがあります。
実はこの答えについて私は間違っていると思います。
確かに年を重ねていくにつれ体重の増加、体力・筋力などが低下していきます。子供や青年層より、中高年で変形する話も聞きます。
それでもただの老化現象とだけ言われるのは違う・・・なぜそう思うか?
それは以下のケースが存在するからです。
- 人により片足しかならないケースがある
- 同世代でもなってる人、なってない人がいる
- 30代後半~40代前半でもなっている人がいる
この3つを見てもわかるように【年を重ねる=変形する】は成立しないと思います。極端な話、年を重ねた人がみんな変形すれば老化。これは明白でしょう。
きっと感の良いあなたならこの疑問を持つはず
「なぜ上記3点のような差がでるか?」
では、その差についての疑問に答えていきたいと思います。
「筋力・筋肉の柔軟性・動き」この3つ全て、もしくは1つが弱くなってる可能性があります。
「筋力・筋肉の柔軟性・動き」この3つは先ほども言ったように子供や青年層と比べて弱くはなりますが、中高年の方でも個人差や左右差があります。
筋力
筋肉の繊維は歩くなどに使う遅筋繊維と走ったりなどに使う速筋繊維があり、それぞれの動きをしないと鍛えたり、キープすることが出来ません。
大人になってくると、早く動く動作が減るので速筋繊維が落ちていき、膝の内側を支える内側広筋(速筋繊維が豊富)は低下。結果、膝への負担が増加し、その事が変形進行の要因になります。
筋肉の柔軟性
筋肉が硬くなると関節への負担増。筋肉は関節を滑らかに正しく動かす動力源なので、硬くなると関節を滑らかに動かせなくなる為、関節負担増加・変形進行の要因になります。
動き
先ほど筋肉の柔軟性でも話したように、動きが悪くなるのも関節への負担アップの要因になります。この動きとは、【痛みなく動く=動きがある】ではありません。
膝関節は【正座ができる、寝てる姿勢で足を伸ばした時、膝裏に隙間がない】が正しい動きなので、これができないと今は痛くなくても関節に負担が掛かっており、変形進行の要因に。
状態をしっかり観察することで改善方法を選ぶ
この3つは互いに干渉しあっているので、例え他の二つが良くても一つが欠けてしまうことで残りの二つにしわ寄せが行き、悪くなってしまう可能性があります。
当院では状態を見て、何が悪いかを判別することも出来ます(一つではなく、複数のパターンもあり)。判別することはとても大事です。
何が悪いかで自分の改善点を見つけることが出来ますね!
しみず鍼灸整骨院 所沢院の施術法
安静&アイシング
主に急性期(痛みが強い、痛みが始まったとき)に行う処置です。
患部の炎症が強いとき(手の甲で関節を触ると熱くなってる)は、運動が痛み増加の原因になるのでこの状態では無理にやらない方が良いでしょう。
アイシングとは袋に自宅で作った氷と少量の水を入れ関節を冷やすこと。
※アイシングはやり方を間違えると凍傷になる可能性がある為、自宅の冷凍庫にある氷を使用してください(買ってきた氷を直接皮膚に当てると冷えすぎる為)。
当てる時間は1回につき10~15分ぐらいを目安に、この急性期では2~3時間に1回は冷やせると良いでしょう。
湿布では患部を冷やす効果がないので注意してください。
湿布にはメントール(スウスウする成分)が入っており、それの関係で冷えてる感じがするだけで、本来は消炎鎮痛効果を目的としています。
ウォーキング
歩くことは【歩くのに必要な筋力や動きを同時に鍛えられる】のでお勧めです。歩く距離やスピード、コース(平地や坂道)を変えることにより自分に合った内容にできるのも良いところですね。
なお、膝に変形のある患者さんは歩くことにより痛みが増強するというデータも出ていますが、体全体のこと(血糖値・血圧を下げる、筋力強化)を考えると歩くことをお勧めします。
痛みが強い方は水中ウォーキングをしたほうが良いでしょうね。水中ウォーキングは水の浮力で膝にかかる荷重が減らせますので、膝にやさしいですね。
ストレッチ運動
筋肉を伸ばすことで柔軟性を高め、関節を動きやすくする為のもの。硬い筋肉では、力を満足に出せないし関節への負担が増えます。
ストレッチはテレビなどでも色々やってて何をしていいかがわからない人も多いですが【自分の痛みに合う、やってて苦にならない】のを選ぶのがいいと思います。
筋トレ
筋肉をつけることは大事。本当に大事です。筋トレもその人の筋力レベルというものがありますので、それに応じた内容のトレーニングを行い、徐々に負荷を増やせれば良いですね。負荷が軽いものからご紹介します。
詳しくは来られた時に一人一人にあった筋力トレーニングやストレッチを指導していきます
また、人工関節置換術といって「痛みの強さや変形の度合いにより、人工関節の手術」を勧めることがあります。
最後に
今回は変形についてお話ししてきました。変形は年を重ねると皆なるわけではありませんよ。
膝を正常に保つ能力が失われていくと変形をしていく可能性が上がります。日頃から注意しとけば早めに予防でき、すぐに対処もできます。その方が痛くないし、少しやるだけでも変化がわかりやすいので、しみず鍼灸整骨院 所沢院では強く勧めています。
現在痛い方でも、適切な対処をすることで今ある痛みを減らすことが出来ます。しみず鍼灸整骨院 所沢院ではその痛みをエコーにて観察して原因を追究し、その対策を考え自宅での運動の指導を行います。更に待合室で時間のある患者さんには実際に体操をして帰っていただくという対応もしています。
お悩みは共有したいです。気になることは気軽に相談してください!
こちらにカウンセリング例を紹介していますので是非ご覧ください!