しっかり対処しないと癖になるかも?肉離れ

2021年12月3日

肉離れとは?

足のケガ その3

肉離れはよくスポーツの現場で見かけるケガですね。
しみず鍼灸整骨院 所沢院にもちょくちょく肉離れでお悩みの方が来られます。

筋肉の構造は筋繊維と呼ばれるものが束になっています。肉離れはこの筋繊維が切れてしまった状態のことを言います。切れ方の程度で何段階かに分かれており、軽症なものもあれば重症なものも、ケガの治り具合も違います。

よくスポーツ選手やスポーツをしてる人に多いです。主に【太もも前面・・(大腿四頭筋)】【太もも後面・・(大腿二頭筋)】【ふくらはぎ・・(下腿三頭筋)】の足の筋肉に多いですね。【癖になる】と聞いたことがある方もいると思いますが、これは治し方やリハビリの仕方を間違うことで癖になりやすくなってしまいます。

今回は、ふくらはぎ(下腿三頭筋)肉離れについて話していきます。

分類

レベル1(軽度)

この状態は筋繊維が切れていると言うよりは、【傷が入った】【繊維を伸ばしてしまった】ぐらいですね。なので、動こうと思えば動けますが、損傷していることには変わりないので、放置していると切れてしまうこともあり注意が必要です!

レベル2(中度)

この状態は筋繊維が切れていますね。ただ、全てが切れているわけではないので【部分断裂】と言います。部分断裂の中でも程度が分かれ、切れた本数に比例して重症になります。

(例)【軽症】100本中20本切れた<【重症】100本中60本切れた・・・・前者の80本残っているのと後者の40本しか残ってないのでは、前者の方が20本切れてはいても後者よりは軽症になりますね。当院にあるエコーは切れてる状態を見ることができますので、どのくらいの程度なのかがわかります!

レベル3(重度)

この状態は全ての筋繊維が切れてしまっていて【完全断裂】と言います。レベル1では動くこともできましたが、この状態では痛くて難しいですね。

原因・・・なんで切れるの??

  • 筋肉(筋繊維)の変性
    筋繊維の劣化(変性)でも肉離れの原因になります。人間は気軽に体の部品交換ができません。使っていく内に筋肉の繊維も徐々にですが、劣化していきます。これはある程度はしょうがないですが、【人より酷使している】【年齢】【過去にケガをした】など、人より筋繊維にダメージを与えている人は肉離れの起こしやすい要因になりますね。
  • 筋肉(筋繊維)の柔軟性筋肉が硬いというのは、それだけでケガの発生率が高くなります。筋肉は性質上伸び縮みし
    ますが、硬くなり柔軟性が少ない場合伸び縮みがしっかり行われないので、筋肉にいつも以上の負担がかかります。いつも通り動かしたつもりが、柔軟性が低下していた為に筋肉がうまく伸びずに切れる、なんて事もあります。イメージとしては新品のゴムと劣化し硬くなったゴムを引っ張った時に、どっちが切れやすいかイメージするとわかりやすいと思います。柔軟性や運動前の体操が大事なのがわかりましたね。

症状・・・どんなのが肉離れ??

  • まず切れた時、痛めた時に「ブチ!!」と音が聞こえたり、ふくらはぎを後ろから蹴られたような衝撃が走り、自分自身で切れたことを自覚する場合が多いです。
  • 立とうとした時に痛みで足がうまく着けず、足を引きずるように歩きます。
  • 完全に切れてしまうと、つま先立ちはできなくなります。どちらも損傷程度や痛みに対する強さで変わりますよ。
  • 損傷程度が大きいとみるみる腫れが強くなり、皮下出血を認めます。

筋肉を痛めて~治るまでのしくみ

  1. 筋肉が切れて、そこに瘢痕組織(切れた筋肉の代替品みたいなもの)が出来て、その後にリハビリを行いなるべく同じ機能に戻していく..というのが大まかな流れです。
  2. 切れているのに無理に使えば悪化します。元々全部がちゃんと機能することで100%の力を発揮するのに、切れていればその分力は落ちます。そんな状態で100%使えば筋肉も耐えられず、ほかの正常な部分も痛めてしまう恐れがあります。
  3. 瘢痕組織が完全にくっつく前もそうです。少しでもくっついてくると痛みはある程度減りますが、この状態はつきたての接着剤みたいなものです。無理に力を入れればまた切れてやり直しです。
  4. いざ瘢痕組織が完全にくっついても、まだリハビリが必要です。この瘢痕組織は元々の筋組織と100%同じ働きは出来ません。さらに瘢痕組織は触るとしこりのように硬くなり、周りの筋組織もしばらく使っていなかった分硬くなっています。そういった機能を戻さずに運動をやれば再断裂し、せっかくここまできたのにやり直しになってしまいますよ!なのでリハビリをしっかりやる必要があるのです。詳しくは下の【再発防止】の所を見てください。

再発防止・・・癖にならないようにしないと!

【筋組織を正常に治す】【治した組織の柔軟性と強度を戻す】この二つです!至って普通のことですが、これがなかなかできなくて癖になってしまう方が多いです。

肉離れ1

図のように、下腿三頭筋はヒラメ筋と腓腹筋(内側頭と外側頭)の3つで構成され、アキレス腱へと移行していきます。一番切れるポイントは赤印がある腓腹筋内側頭のアキレス腱との移行部分です。

  • この切れた繊維が正しくつくのと、ぐちゃぐちゃにつくでは組織の強度に差が出てきますので、正しくつけないといけません。安静、手技療法など正しい治療を行うことで、修復するのを促進することが出来ます。
  • 次に大事になってくるのが、その正しく修復した筋組織の強度と柔軟性を取り戻すことです。修復当初の筋組織と瘢痕組織の境界は弱く、修復で痛みは減りますが使えば切れやすいです。強い筋組織を作るには瘢痕組織の硬さを取り除き、徐々にストレッチや筋トレを行っていきます。
  • ここまでくるのに約3~9週かかります。早く仕事や運動に戻りたい気持ちもわかりますが、中途半端だと再発率も高くさらに復帰が遅れます。

なんと言っても普段からのケアが大事ですね!

・みなさん運動前後のストレッチをしていますか?特に皆さんの話を聞いていると【どっちもやれてない】【やりたいけど忘れちゃう】【準備運動はしてるけど整理運動は…】など、あまり出来ていない人が多く感じます。

筋肉に適度な硬さは大事ですが、硬すぎると【疲労が溜まりやすい】【疲労が取れにくい】【パフォーマンスがさがる】ので、ますますケガしやすいでしょう。

皆さんは自分の体力を把握してますか?

【自分の体力を向上させるか?】【体力に合った運動量にするか?】ここも大事ですね。

学生はレギュラーになる為、試合に出る為にがむしゃらに運動し、結果使い過ぎになりやすいです。一方、大人では日常生活で体を動かしていないのに、子供に良い所を見せようと運動会で張り切り、コーナーを曲がり切れず転倒、足がもつれ転倒。すなわち、体がなまっているのに頭は昔の運動していた頃のままなので、体がついていかずケガをする、なんてよく聞きます。

筋疲労なし!柔軟性がある!と言っても筋肉のパワーやスタミナが足らなければ意味がありません。ストレッチ同様、筋力トレーニングも普段からすると良いでしょう。当院では人それぞれに合った(症状や状態を見て)筋力トレーニングを提案し、ストレッチ指導も行っています。

筋力も【たくさんすれば】【強くすれば】すぐ鍛えられるわけではないし、急にするとかえってケガをしてしまう恐れがあります。焦ってやる必要は全くありません。

最初はトレーニング量を減らし、筋力や体力がついて来たら徐々に量を増やしていくようにした方がいいでしょう。またストレッチも同様に伸びている筋肉を意識し、少し痛くなるぐらいまで伸ばし徐々に柔らかくしましょう。

地道にコツコツ行うことが強い体を作ることにつながり、結果ケガの予防になります。

施術法はどんなことをするのか?

分析

エコーやその他徒手検査をしながら肉離れをチェックしていきます!
肉離れでは切れている度合いによって処置が変わってきます。エコーでしっかりと状態を把握する事により最適な施術を提供いたします。

肉離れ2

痛めている所にピンポイントで圧迫力をかけられ、筋肉の動きを制限する効果があります。痛い中どうしても動かなくてはいけないときに行います。しっかり巻かないと余計なところを制限したり、抑えたい所が抑えられない等の問題が出てしまうので、巻き方についてしっかり巻けるよう説明していきます

日常生活での固定として使うことが多いです。パットを当てることにより血腫が溜まるのを抑え、早期に腫れを引かせることができます。この包帯は伸縮性があり、最初から最後まできつく巻くとうっ血してしまうので注意。ふくらはぎの一番下と一番上をしっかり巻く!ここをしっかり巻かないと包帯がずり落ちてきてしまいます。

症状が落ち着いて来たら高電圧の刺激を深部まで与え、疼痛緩和や血流促進を目的とし行います。

鍼灸

瘢痕化してしまった組織や切れた周囲の筋肉の硬さを取り除きます。

ストレッチはこちらをご覧ください!

こちらにカウンセリングの紹介しておきますので是非ご覧ください!

最後に

すべての患者様が上記の流れではありません。仕事をいつから普通にやってもいい??仕事内容にもよりますが簡単に言えば、ケガをした前に出来ていた動きに支障がなければいつも通りやって大丈夫です。

痛みがまだ強いのに練習や試合に出なくてはいけない場合は??程度にもよりますがテーピングを巻いて出てもらいます。但し、テーピングは魔法のアイテムではありません。あくまで、損傷部へのダメージを軽減することが目的で、完全にダメージを無くすものではありません。やったことにより状態の悪化、当初より治療期間が長引く場合が十分ありますが、この辺は先生と患者さんとで話し合いましょう。

ストレッチや筋トレをしてれば絶対にケガしない?残念ながらケガすることもあります。絶対と保証はできません。ただ、ストレッチや筋トレも闇雲にやっても意味がありませんが、正しく行えば確実に負傷率を減らすことはできます。痛みがないから、自己判断で運動してもいいですか??痛みがないと言っても、日常生活の動きと運動では筋肉にかかる負荷も量も全然違います。

上でも話したようにある程度回復すれば痛みも減りますが、筋肉の強さや強度は戻っていません。スポーツに関しては軽い運動から徐々に始めましょう。スポーツの種類、スポーツレベルにより復帰する日は様々なので、状態によってこの運動から始めましょうなど指導していきます。決して自己判断では運動しないようにしましょう。