テニスをやってなくてもなってしまう!テニス肘
2021年12月3日
目 次
テニス肘って何?
肘が痛くて病院で診てもらったら、テニス肘って言われました。
テニスをやってないのにおかしいですよね。
これはよくテニスをやっている人に多い疾患の為、このような通称で呼ばれています。
正式には【上腕骨外側上顆炎】といいます。
正式名は長いのでここでは「テニス肘」と言わせてもらいます。
テニス肘の原因は?
- 仕事や家事の繰り返し作業
- 筋力低下
- 柔軟性低下
この痛みはパソコン作業、流れ作業、家事、重いカバンを毎日持つなど、様々な伸筋群の収縮や外力が繰り返し加わり発症することが多いです。
上の内容と矛盾している感じですが、同じ作業を繰り返してその作業に必要な筋肉があるのとないのでは、当然筋肉がないほうが負担になりやすいです。そのため、急に仕事内容が変わった人は、その作業に必要な筋肉も変わってくるので気を付ける必要があります。また、作業を繰り返しその作業に必要な筋力がついても、一定のラインを超えれば痛みになります。その限界値を向上させる事は可能なので読み進めてください。
硬いというのはどの筋肉でもよくありません。筋肉が硬いことで腱及び付着部にかかる張力が強くなり腱炎、付着部炎になります。
この3つのバランスが保てなくなると、外側上顆部及び付着している腱に炎症が起こり、痛みが出ます。どれか1つでも欠けてはいけません。その1つを補う為に他の2つが頑張れば、その2つにもいずれ限界がきて、結果的に3つ全てがダメになってしまいます。
詳しいメカニズムを知ろう
外側上顆に付着する筋肉は図にあるように長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、(総)指伸筋、小指伸筋、尺側手根伸筋、回外筋、肘筋の7つの伸筋群があります(下図は肘筋を除く)。
その中でも、短撓側手根伸筋(赤い下線の筋肉)が一番問題になることが多いです。この筋肉は主な動作として【手関節の背屈】【手関節の撓屈】を行います。
筋肉は骨から骨についていますが、実際についているのは筋肉の両端にある腱と言う物です。そして、主に身体を動かすときに伸縮しているのは筋肉で、腱にも伸縮性はありますが筋肉と比べると弱いです。すなわち、腱は筋肉にかかる力が瞬間的・強い時に緩衝材として伸縮するからです。
(※だから、筋肉を伸ばす時はゆっくり伸ばし、アキレス腱を伸ばす時は反動をつけるのです。)
そして、短橈側手根伸筋は他の筋肉に比べて腱成分が多いため、外側上顆に加わる力が強くなる特徴があります。
上記の原因により、筋肉の伸縮性が減少していると腱が筋肉の変わりをしようとします。しかし、元の機能とは違う動きをすることは腱への負担が大きいので腱付着部で炎症を起こし、痛みが出てきます。
さらに、悪化すると腱が付着している部分の骨が変性(骨棘という)してしまいます。
腱や骨の炎症を抑えるには、原因である筋肉の問題を解決していく事が先決です。
どんな痛みが出てくる?
この項目に当てはまる方は注意が必要かもしれません。
- 雑巾絞りで肘が痛いor違和感あり
- テーブルの物を取ろうとして肘が痛いor違和感あり
- パソコン作業で肘が痛いor違和感あり
- 家事をしていて肘が痛いor違和感あり
- 買い物袋を持っていて肘が痛いor違和感あり
- 買い物袋を持っていて肘が痛いor違和感あり
どれも特殊な動きではなく、よくある動きばっかりですね。原因でも話しましたが、こう言った動作で繰り返し加わる外力が蓄積され、限界を超えたら上記の動作で痛みが出てきます。なお、限界には個人差があります。
初期の頃は痛みより違和感や筋肉の硬さが強く、段々と痛みに変わっていきます。
テニス肘を調べるテスト
この疾患の鑑別に使える検査法になります。各テスト法は患部に痛みを誘発させる方法です。この疾患の疑いがある人が行うと肘外側(外側上顆)に痛みが出ます。自分たちでも出来ますが、専門の先生に検査してもらう方が確実ですね。
トムセンテスト
①患者は痛い手をまっすぐ伸ばし、軽く握りこぶしを作ります。
②検者は患者のこぶしの上に手を置きます。
③検者はこぶしを上から押さえる様にします。患者はその力に逆らうようにこぶしを上に挙げます。
④この時に肘外側(外側上顆)に痛みが出たらこの疾患の疑いがあります。
ミドルフィンガーテスト
①患者は痛い手をまっすぐ伸ばし、指を軽く広げます。
②検者は患者の第3指(中指)を上から押す。
③患者は押された抵抗に逆らうように指を上に挙げる。
④この時、肘外側(外側上顆)に痛みが出ればこの疾患の疑いがあります。
チェアーテスト
①患者は図のようにイスを持ちます。
②持ち上げた時に肘外側(外側上顆)に痛みが出ればこの疾患の疑いがあります。
なかなか治らないのはなぜ?
結局使ってしまう・・・治療して楽になっても、仕事や家事など日常生活でどうしても手を使わないといけない時もあります。治療して3歩進んだのに使って2歩下がる・・様な感じになり、結果1歩進んでるので治ってはきているのですが、回復が遅いのでなかなか治っていないように感じてしまいます。
予防&対策
ストレッチ
筋トレ
筋力・体力を増やすことで、繰り返し使われてもすぐに痛くならないようにするのも大事だと思います。特に何度もテニス肘になっている人は行った方が良いでしょう。
まず、手をまっすぐ前に出します(手のひらは床に向けて)
次にペットボトルかダンベルを持って、手首の力で持ち上げます。重さは500g~1㎏で十分ですが、きつい方は何も持たずにじゃんけんのグーの動作のように力いっぱい握るのでも大丈夫です。
回数は20~30回を1セットです。一日に2~3セット行えると良いでしょうね。
サポーターを使う
サポーターを使うことで、肘を使った際の負担を減らすことが出来ます。当院では2種類のサポーターを使いますが、症状に合わせてより効果のあるサポーターをお渡しします。下記の注意事項を守って装着しましょう。
テニスエルボーサポーター
このサポーターの特徴は、筋肉が引っ張ることで腱の付着部である骨にかかる刺激を逃がす点です。
注意点
つける位置を間違えない・・・これを間違えると抑えたい部分が抑えられず、効果が半減してしまいます。つける位置は肘外側の骨の出っ張り(外側上顆)から指2本分下がったところです。そして、手首を甲側に曲げると肘外側付近で盛り上がる腱に、パットが当たるように装着します。
締めすぎない・・・締めすぎればうっ血してしまうし、逆に緩過ぎても抑えの効果がなく、ただのアクセサリーになってしまいます。一番大事なことは力を入れた際に筋肉の最大収縮を防ぐことです。力を入れた時に適度に圧迫されて、痛みが半減していればOKです。
ソフラウルファー(手関節用)
このサポーターの特徴は手関節の動きを制限し、肘外側(外側上顆)へ加わる負担を減らすことです。テニス肘の主な原因である短撓側手根伸筋の動きを抑制し、痛みが軽減した方にお渡ししています。
注意点
巻く位置・・・患者さんは腕時計の位置にと思いがちですが、実際はもう少し指先側になります。手首を甲側に曲げると(背屈)シワができる位置が手関節です。その部分にしっかりとソフラウルファーがくるようにしてください。
使い方を工夫する
パソコンをするときの姿勢
下の2つの画像を見てもらえると違いがわかると思いますが、手首が背屈していると外側上顆に伸長外力が常に加わってしまう状態になります。
何気ない日常生活で起きる外側上顆炎では、少しの工夫で負担割合を変えることが出来るので、デスクワークの人は下の図のように行ってください。
リストレスト(下図ではタオルを置いています)はアマゾンなどで安く売っているので、パソコン作業で痛みの出る人は購入することをおすすめします。
最後に
今回は上腕骨外上顆炎(通称テニス肘)についてお話ししました。名前にテニスと入っていますが、むしろそれ以外の日常動作が影響してなることが多いと分かったと思います。日常動作が原因な為に、痛みがなかなか減らないというのも分かったと思います。完治はします・・が、自分自身の治そうとする意思が大事になってきます。ストレッチなどは必ず行いましょう。
さらに言えば、気づいたら早めにチェックするようにしましょう。カウンセリング例を見て頂くとわかりますが、外側上顆炎と言っても程度は様々です。初期の場合では付着部での腫れは無いので早期に治りますが、ほっといて悪化させることで付着部の腫れや骨棘になり完治に時間がかかります。いつまで様子を見るか?どのくらい痛くなったら行こうか?この辺の見極めが重要です。私としては、違和感を感じた時点ですぐに治療を開始することをお勧めします。しみず鍼灸整骨院 所沢院ではエコー観察を行っていますので程度の把握、治療期間など詳しく説明できます。また、どんな些細なことでもご相談ください。
こちらにカウンセリング例を紹介していますので是非ご覧ください!