むち打ち
2021年12月3日
目 次
交通事故でよく聞く「むち打ち症」とは?
「むち打ち」という名称ですが、これは一般的に呼ばれてる名前です。
正式な専門名称は下記になります。
外傷性頸部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)、又は頸椎捻挫(けいついねんざ)
良くある交通事故では「後ろから追突された直後に、頭が鞭を打つように動かされた結果、頸部周りの関節包・筋肉・靭帯・神経・骨等を損傷」。レントゲンやMRI等の検査で最終的な診断名が決まります。
当院では受傷後、直ちに検査をすることを強くお勧めしますが、中には数日~1週間ぐらい経ってから痛みが出てくるものもあります。その際は時間が経っていたとしてもすぐ検査をすること。
自分の状態・症状を把握することは、治療していくことにおいてとても重要なことです。
「むち打ち症」の分類のご紹介
むち打ちといっても主に6つのタイプに分類されます。
交通事故に遭われてこの記事にたどり着いた方は、ご自身の症状が下記の症状と同じ点があるか照らし合わせてみて下ださい。
- 頸椎捻挫型(けいついねんざがた)
- 根症状型(こんしょうじょうがた)
- 脊髄(せきずい)症状型
- バレー・リュー型
- 混合型
- 脳脊髄液減少症(のうせきずいえきげんしょうしょう)
1つずつご紹介します。
頸椎捻挫型(けいついねんざがた)
約6~7割の方がこの症状になります。頸部周りの筋肉や腱・靭帯等を痛める事で頸部の動作痛、また肩甲部や背部にも痛みが。
手のシビレが出ることもあるが一時的なもの。人により様々ですが大まかに区分けすると以下の状態。
- 頭を前、左右、後ろに倒したりするのが痛い、肩や背中に痛みが響く感じがする。
- 腕を回すと痛みが出る。
- じっとしてるのも痛い。
- 何かに頭を預けてると楽だが、ずっとそのままでも痛くなる。
などの症状があります。簡単に言えば頭を支える筋肉や靱帯を捻挫しているので動かしたり、支えたりするのが痛くなるわけです。
根症状型(こんしょうじょうがた)
いわゆる神経症状を出す状態。頸部の神経支配領域にシビレや感覚鈍麻、知覚異常等の症状が出ます。
- 肩から腕、指先の一部、もしくは全部に症状が出て、ピリピリシビレが出る。
- ずーんと重たい感じが出る。
- はばったい感じになる。
- 触られた感覚が何でもないところと比べ鈍い感じになる。
- 力が入らず物を落としてしまうことがある。
などの症状が出る上、安静時でも出ることがあります。
脊髄(せきずい)症状型
事故による衝撃が強く、骨折や脱臼を合併することにより頸椎の位置関係が崩れ脊髄を損傷してしまいます。
身体は脳から出る脊髄という神経が背骨の中を走り、木の根っこのように各部分に枝分かれしています。
その為、脊髄の痛めた場所や状態により、症状の出てくるところや度合いが大きく変わるのが特徴です。
脊髄の損傷レベルにより運動麻痺や感覚障害の分布が異なり、更には膀胱直腸障害を起こすケースもあります。
バレー・リュー型
主に自覚症状が多く、他覚症状(検査等でわかるもの)ではわからないものが多い。「めまい、耳鳴り、吐き気、嚥下(飲み込む事)困難、脈拍の乱れ、頭痛、息苦しさ」など様々な症状が出ます。
気温、湿度、気圧によっても症状が変化することもあり、本症状は色々と厄介だと思います。それ以外にも、複数の症状が同時に発症・もしくは日によっても症状が変化する・さらに安静にしててもじわじわと出たり。
と状況と症状の変化が一概にリンクしないので、ある意味一番厄介かもしれません。実際に患者さんからもこの症状の訴えを聞くことは多いですが、他の分類より精神的にキツいなんて事もよく聞きますね。
混合型
頸椎捻挫型や根症状型、バレー・リュー型等が同時に出るケースもあります。上で話したような症状がいくつかまとめて出ます。同時だったり、日によって色々変わります。
脳脊髄液減少症(のうせきずいえきげんしょうしょう)
低髄液圧症候群(ていずいえきあつしょうこうぐん)ともいいます。
脳や脊髄は脳脊髄腔の中にあり、脳脊髄液という液体で満たされてます。
脳脊髄腔を覆っている硬膜を損傷し、亀裂が入るとそこから髄液が漏れ出し、倦怠感や頭痛などを引き起こします。特徴としては「立ってると症状が強くなり、寝てると症状が緩和する」という傾向です。
漏れ出してるところは「ブラッドパッチ」という治療を行います。日本ではここ10~20年ぐらいで注目されてきた疾患です。なのであまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。
ブラッドパッチとは?
脳脊髄減少症の治療法として有効とされています。損傷し、穴が空いてる部分(硬膜外・・・硬膜の外側)に注射で自分の血液を打ちます。血液が固まる作用を利用して穴を塞ぐという治療法です。なのでブラッド(血)パッチ(塞ぐ)と言う名前なんです。
交通事故で起きやすい他の外傷例
車での交通事故はケースとして多いと思いますので、良くあるケースの一覧を載せます。
ダッシュボードインジュリー(ダッシュボード損傷) | 後方からの衝撃で膝をダッシュボードに打ち付け股関節後方脱臼及び寛骨臼骨折を伴う |
エアバッグによる胸の圧迫 | エアバッグの衝撃により、胸を強く圧迫して心タンポナーデを発症することも |
頭部 | 頭部打撲、外傷性硬膜外血腫 |
上半身 | 鎖骨骨折、肋骨骨折、肩腱板損傷、肩鎖関節損傷、胸骨骨折、肋軟骨損傷、橈骨骨折 |
下半身 | 骨盤骨折、膝前十字靱帯・後十字靱帯損傷、膝蓋骨骨折 |
検査で明確にでないもの
来院された患者さんに聞くことがあった体験談ですが「車の振動で痛くなる。また、歩いてると車に敏感になったりする」という症状。
この方は、「車の運転がまたしっかり出来るまで苦労した」など被害に遭われた方しかわからないような症状もあります。
こういった内容は、レントゲン等の検査ではわからないことが多いです。
余談ですが、私が今まで色々な患者さんから聞いてきた中で、検査でわかる症状より検査で出てこない症状の方が精神的な影響が強いと感じています。実際の患者さんでも痛みが治まりつつあるのに、運転をしようとすると怖いなんて人もいましたので。
「むち打ち症」の治療法
当院では2通りの治療法を実施しています。
手技療法
この損傷で痛めた頚部~背部を手技療法で治療します。今までの経験上ですが、状態が日によって変化するので(損傷程度、個人差もある)、初めの内はなかなか効果が実感できないなんて事もあります。
ただ、繰り返し治療していくことにより、徐々に確実に効果が出てくる事が多いので、諦めず治療していくのが大事なことかなと思います。
牽引療法
首を引っ張る牽引療法というものを行うこともあります。主に神経症状が出てる方に施術しますが急性期では行わず、ある程度落ち着いてから行うことが多いです。
すぐ行うと引っ張られること自体が強い刺激となり、痛みが強くなることがあるので様子を見ながらの対処となります。
最後に当院での施術について
レントゲン検査で簡単に診断され、軽視されてしまうことも多いので悩ましいところです。
当院ではエコーやカウンセリング、徒手検査を駆使し、画像ではわからない痛みも見つけ、対処していきます。ケガした時に対処しないと「治るはずのもの」が後遺症として残り、その後もずっと付き合っていくこともあります。これは絶対に避けなければならないことですよ。
しみず鍼灸整骨院 所沢院も過去のカウンセリング例と重ね合わせ、多角的に対応をしてきたことで、着実に実績を積み上げれている。そう感じています。また、保険会社との相当数のやり取りも含め、患者さんの負担軽減になれていると好評です。
こちらに実際のケースを紹介していますので是非ご覧ください!