アキレス腱炎のカウンセリング例

2022年04月16日

カウンセリング例1

畑で草むしりをしていた際に両足に痛めてしみず鍼灸整骨院 所沢院に来られました。

カウンセリングでチェックしたところ、両足(右>左)共にアキレス腱部に腫脹、圧痛、歩行時痛、つま先動作、しゃがむ動作にて痛みが強くなります。

骨模型でのアキレス腱長軸ではアキレス腱がこのように踵骨に付着しているのがわかります。

別角度でアキレス腱を見るとこのように楕円形の断面なのが見てわかります。

アキレス腱エコー1

この画像では赤↕の幅のアキレス腱が横に繊維構造(fibrillar pattern)を作り滑走し踵骨についています。

両側共にアキレス腱が肥厚(太く)しており右足の画像ではアキレス腱の下に黒い部分が映っています。

エコーではこの黒い部分を水溶性のものと考え、ここに滑液が溜まっている為、踵骨後部滑液包炎と考えられる。

アキレス腱エコー2

この画像でも両足共にアキレス腱が肥厚し赤や青の炎症反応が描見られます。通常アキレス腱自体には血管は少ない構造を持っている。ただ何かが原因となりアキレス腱内に不要なモヤモヤ血管ができることによりこのような炎症反応が見ることができます。

アキレス腱エコー3

この画像でも同様に赤↕のアキレス腱が肥厚しアキレス腱及びKager’s fat pad(脂肪組織)に炎症反応が起こっていることがわかります。

エコーの動画で踵骨後部滑液包炎~アキレス腱の腫れ及び炎症反応をご覧ください

低周波、施術を行い日常生活での負担を減らすためにテーピング、インソールを施したところ徐々に痛みがなくなり一か月程度で施術終了しました。

痛みが改善した所で最後に状態をエコーにて観察したところ初カウンセリング時と同様に炎症反応がありました。

痛みの軽減とドプラ反応消失には時間差があり、過去のアキレス腱や他部位でも同様に一年後など他の痛みで来院した際に確認するとドプラ反応は完全に消えています。

その経験を踏まえ画像上の変化は無くても痛みが改善していれば再び痛める可能性を説明し施術を終了しました。

カウンセリング例2

自宅にてコタツから立ち上がろうと体重をかけ、踏ん張った際に痛めてしまった。

カウンセリング時に腫脹、圧痛、歩行時痛、階段昇降時痛、つま先立ちで痛みが強くなる等がありました。

この画像で両側共に踵骨に骨棘が見つかり、右足の踵骨より指先方向に石灰化している画像が撮れました。

この画像も赤丸部分に長軸にて23.0mmと短軸にて4mmの石灰がありました。

アキレス腱の動画になります
こちらは別の角度から撮ったものです

低周波、施術を行い日常生活での負担を減らすためにテーピング、インソールを施したところ徐々に疼痛軽減し一か月半程度で施術終了になりました。

施術終了した所で最後に状態をエコーにて観察したところ初カウンセリング時と同様の骨化がありました。

画像上の変化は無くても痛みが改善していれば再び痛める可能性もあるので注意はしてくださいと説明しました。

カウンセリング例3

旅行中に段差に躓いた瞬間にブチッと激痛を感じた為、しみず鍼灸整骨院 所沢院に来られました。

カウンセリング時腫脹、熱感著しく、圧痛、歩行時痛、つま先立ち不能、トンプソンテスト陽性があります。

この画像では左足アキレス腱の繊維構造が鮮明に映るのに対し右足では繊維構造が無く、断裂しているのがわかります。

問題ないアキレス腱の動画です
痛めた方のアキレス腱です
こちらは別角度から撮ったものです
アキレス腱の切れた部分を動かしてみた動画です

特に底背屈をしている動画を見て頂くとわかりやすいですがアキレス腱の断端部が寄っておらず間隙が存在しているのがわかります。

保存療法を決定するのにこの断端が寄っているかが決め手になります。今回の場合では手術適用と考えました。

保存療法(ギブス固定)にしても観血療法(手術)にしても必ず固定をすることになります。

83歳の一人暮らしでギブス固定や装具をし松葉杖を使った生活をするのが患者さんにとって一番良い方法なのか?

初カウンセリング時に歩いて来られたように、アキレス腱断裂では断裂していても歩くことができる人が一定数いるのです。

患者さんに保存療法&観血療法のメリット、デメリットを詳しく説明した所、患者さんの一番の希望は日常生活レベルに戻れれば十分とのこと。アキレス腱は切れたままでいいのでギブスは巻かない保存療法で治療をして行くと話はまとまりました。

初カウンセリング時、アイシング、低周波、施術を行いヒールパット、テーピング、作成したパット当て、圧迫固定包帯を施し歩き方の指導を行いました。

腫れ、疼痛の軽減にてパット、テーピングを外し運動療法を指導しました。

運動療法を続けていった結果、つま先立ちが正常に行えるようになりました。アキレス腱自体は足関節の底屈に作用するが他の筋肉の作用で十分つま先立ちはできるようになります。

更に経過観察を続けたところ、トンプソンテストは陽性、見た目での陥凹は残ったが痛みはなくなりし日常生活で支障がなく生活できるようになったので施術終了しました。

最後にエコーにて観察した。切れた部分に瘢痕組織が介入し陥凹している部分でv字状になっているのがわかります。

最後に

私は今まで手術後のアキレス腱断裂のリハビリや保存療法のギブス固定から施術終了に至るまでのリハビリの経験は多数あります。ですが高齢者の断裂、ギブス固定を行わなかったのは今回が初めてでした。

私たちは細かく説明をして患者さんに決めてもらいましたが、断裂直後から軽度な固定による歩きにくさはあったものの、そこまでの生活の変化は無く患者さんは喜んでいました。

患者さんのゴールが日常生活レベルに戻れれば十分とのことでしたので、リハビリでつま先立ちもできるようになったし結果一番良かったと思っています。

こちらにアキレス腱について紹介していますので是非ご覧ください!