むち打ち症とは

むち打ちに苦しむ女性

交通事故でよく聞く「むち打ち症」とは?

「むち打ち」という名称ですが、これは一般的に呼ばれてる名前です。
正式な名称は下記になります。

外傷性頸部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)、又は頸椎捻挫(けいついねんざ)

よくある交通事故では「後ろから追突された直後に、頭が鞭を打つように動かされた結果、頸部周りの関節包・筋肉・靭帯・神経・骨等を損傷」し、レントゲンやMRI等の検査で最終的な診断名が決まります。

当院では受傷後、直ちに検査をすることを強くお勧めしますが、中には数日~1週間ぐらい経ってから痛みが出てくるものもあります。その際は時間が経っていたとしてもすぐ検査をすること。

自分の状態・症状を把握することは、治療においてとても重要なことです。

「むち打ち症」の分類のご紹介

むち打ちといっても主に6つのタイプに分類されます。

交通事故に遭われてこの記事にたどり着いた方は、ご自身の症状が下記の症状と同じ点があるか照らし合わせてみて下さい。

  1. 頸椎捻挫(けいついねんざ)型
  2. 根症状(こんしょうじょう)型
  3. 脊髄(せきずい)症状型
  4. バレー・リュー型
  5. 混合型
  6. 脳脊髄液減少症(のうせきずいえきげんしょうしょう)

1つずつご紹介します。

むち打ち体験女性1

1.頸椎捻挫(けいついねんざ)型

約6~7割の方がこの症状になります。頸部周りの筋肉や腱・靭帯等を痛める事で頸部の動作痛、また肩甲部や背部にも痛みが出ます。
手のシビレが出ることもありますが、一時的なものです。人により様々ですが、大まかに区分けすると以下の状態。

  • 頭を前、左右、後ろに倒したりするのが痛い、肩や背中に痛みが響く感じがする。
  • 腕を回すと痛みが出る。
  • じっとしているのも痛い。
  • 何かに頭を預けてると楽だが、ずっとそのままでも痛くなる。

などの症状があります。簡単に言えば頭を支える筋肉や靱帯を捻挫しているので、動かしたり支えたりするのが痛くなるわけです。

2.根症状(こんしょうじょう)型

いわゆる神経症状が出る状態。頸部の神経支配領域にシビレや感覚鈍麻、知覚異常等の症状が出ます。

  • 肩から腕、指先の一部、もしくは全部に症状が出て、ピリピリシビレが出る。
  • ずーんと重たい感じが出る。
  • はばったい感じになる。
  • 触られた感覚が何でもないところと比べ鈍い感じになる。
  • 力が入らず物を落としてしまうことがある。

などの症状が出る上、安静時でも出ることがあります。

3.脊髄(せきずい)症状型

事故による衝撃が強く、骨折や脱臼を合併することにより頸椎の位置関係が崩れ、脊髄を損傷した状態です。

身体は脳から出る脊髄という神経の束が背骨の中を走り、木の根っこのように各部分に枝分かれしています。

その為、脊髄の痛めた場所や状態により、症状の出てくるところや度合いが大きく変わるのが特徴です。

脊髄の損傷レベルにより運動麻痺や感覚障害の分布が異なり、更には膀胱直腸障害を起こすケースもあります。

むち打ち体験女性2

4.バレー・リュー型

主に自覚症状が多く、他覚症状(検査等でわかるもの)ではわからないものが多いです。「めまい、耳鳴り、吐き気、嚥下(飲み込む事)困難、脈拍の乱れ、頭痛、息苦しさ」など様々な症状が出ます。

気温、湿度、気圧によって症状が変化することもあり、本症状は色々と厄介だと思います。それ以外にも、複数の症状が同時に発症・もしくは日によっても症状が変化する・さらに安静にしていてもじわじわと出たり

と状況と症状の変化が一概にリンクしないので、ある意味一番厄介かもしれません。実際に患者さんからもこの症状の訴えを聞くことは多いですが、他の分類より精神的にキツいなんて事もよく聞きますね。

5.混合型

頸椎捻挫型や根症状型、バレー・リュー型等が同時に出るケースもあります。上で話したような症状がいくつかまとめて出ます。同時だったり、日によって色々変わります。

6.脳脊髄液減少症(のうせきずいえきげんしょうしょう)

低髄液圧症候群(ていずいえきあつしょうこうぐん)ともいいます。

脳や脊髄は脳脊髄腔の中にあり、脳脊髄液という液体で満たされてます。

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出典:https://www.manga-koutsujiko.com/casestudy7/nousekizuieki.html

脳脊髄腔を覆っている硬膜を損傷し、亀裂が入るとそこから髄液が漏れ出し、倦怠感や頭痛などを引き起こします。特徴としては「立ってると症状が強くなり、寝てると症状が緩和する」という傾向です。

漏れ出しているところには「ブラッドパッチ」という治療を行います。日本ではここ10~20年ぐらいで注目されてきた疾患です。なのであまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。

ブラッドパッチとは?

脳脊髄液減少症の治療法として有効とされています。損傷し、穴が空いてる部分(硬膜外・・・硬膜の外側)に注射で自分の血液を打ちます。血液が固まる作用を利用して穴を塞ぐという治療法です。なのでブラッド(血)パッチ(塞ぐ)と言う名前なんです。

参考脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の治療―ブラッドパッチ

交通事故3

交通事故で起きやすい他の外傷例

車での交通事故はケースとして多いと思いますので、良くあるケースの一覧を載せます。

ダッシュボードインジュリー(ダッシュボード損傷) 後方からの衝撃で膝をダッシュボードに打ち付け股関節後方脱臼及び寛骨臼骨折を伴う
エアバッグによる胸の圧迫 エアバッグの衝撃により、胸を強く圧迫して心タンポナーデを発症することも
頭部 頭部打撲、外傷性硬膜外血腫
上半身 鎖骨骨折、肋骨骨折、肩腱板損傷、肩鎖関節損傷、胸骨骨折、肋軟骨損傷、橈骨骨折
下半身 骨盤骨折、膝前十字靱帯・後十字靱帯損傷、膝蓋骨骨折

検査で明確に出ないもの

来院された患者さんから「車の振動で痛くなる。また、歩いてると車に敏感になったりする」という体験談を聞いたことがあります。
この方のように「車の運転がまたしっかり出来るまで苦労した」など被害に遭われた方しかわからないような症状もあります。

こういった内容は、レントゲン等の検査ではわからないことが多いです。

余談ですが、私が今まで色々な患者さんから聞いてきた中で、検査でわかる症状より検査で出てこない症状の方が精神的な影響が強いと感じています。実際の患者さんでも痛みが治まりつつあるのに、運転をしようとすると怖いなんて人もいましたので。

交通事故2

「むち打ち症」の治療法

当院では2通りの治療法を実施しています。

手技療法

この損傷で痛めた頚部~背部を手技療法で治療します。今までの経験上ですが、状態が日によって変化するので(損傷程度、個人差もある)、初めの内はなかなか効果が実感できないなんて事もあります。

ただ、繰り返し治療していくことにより、徐々に確実に効果が出てくる事が多いので、諦めず治療していくのが大事かなと思います。

牽引療法

首を引っ張る牽引療法というものを行うこともあります。主に神経症状が出てる方に施術しますが、急性期では行わずある程度落ち着いてから行うことが多いです。

すぐ行うと引っ張られること自体が強い刺激となり、痛みが強くなることがあるので様子を見ながらの対処となります。

「むち打ち症」の実録体験談

ここでは実際に事故に遭われ「むち打ち症」を患った方の体験談を載せます。事故に遭わないよう注意をしましょうね。

交通事故1

ケース1. 40代男性 赤信号停止中に追突!整形にてむち打ちと診断された

事故にあった時の感想

車の運転中、赤信号で停まっている時に後ろから追突されました。交通事故自体も初めてでしたので、もう驚きましたねー。

その瞬間は気が動転していたせいか何処も痛くなかったので、「警察・保険会社」へ連絡し、そのあとは普通に仕事に行っちゃいました。あとあと、お金の問題が発生したらめんどくさいし、やり取りも大変だと思ったので、3者を交えた感じですね。あと相手の連絡先も保管したかったので。

これ友人が同じように後ろから追突され、交通事故を起こされた時に、「もし痛みが出てきて保険会社を通していなかったら、そっちのお金の処理が面倒」だと色々教えてくれていたので、覚えていてよかったです。

翌日痛くなってきた!

翌日、『首動かすのが痛いなぁ~』って思い、病院に行ってレントゲン検査をしたら「むち打ち症」と診断を受け、全治1~2週間でした。ちょっと大変と思ったのが、病院に行く際は保険会社に連絡をしないといけない!ってことですね。

痛いのは嫌なんで、とりあえず緩和したいと考えて、整骨院で治療することに決めました。整骨院に通う場合も「保険会社に連絡が必要」らしいです。

整骨院では「電気治療・マッサージ(正しくは手技療法っていうみたいです)」をしました。最初から一気に首の痛みが取れるという訳にはいきませんが、やらない時よりかは圧倒的に楽。まぁ柔道整復という国家資格を持ち、更に日々勉強しているのですから、当たり前といえば当たり前?

先生からの「首」に対する助言

先生からは「首は何もしていないようで、常に頭を支えています。日常で負荷をかけていると、どうしても治療効果も少なくなります。なのである程度の継続した治療をすることで回復に向かえますよ。」と言われました。

確かにやった後は楽になりますが、だんだんと痛みが戻ってくるんですよね。じーんと。

仕事は休めないので、痛みが減るまで仕事終わりに治療に行くよう頑張りました。なかなか継続がしんどかったですけどね。でも痛いのは嫌だし通いますよね(笑

事故後1ヶ月経った頃

治療の甲斐あってか、1ヶ月経つ頃にはもうほとんど痛みが治まりました。初めは痛かった動きも今は痛みがない状態。我ながらよく頑張って治療に行ったと思います。(笑

とにかくじーんと首筋が痛かったというのが整骨院に行った動機ですが、「早くから治療、短い間隔での治療をした」ので治りも早かったみたいです。先生方にはとても感謝してます。

仕事で無理して、痛みがぶり返してきた感じになって先生のところにいったら「無理はいけません!」って注意されましたが(笑

あと、先生には「痛くなくなったとしても、一定期間過ぎたら検査を行い自分の状態を把握すること」をお勧めされました。

途中で他の症状が出るかも分かりません。常に自分の状態を知って「病院で検査し、すぐに告知」をしっかりやって対策をとるようにしたいものです。

交通事故4

ケース2. 60代男性 青信号で交差点通過中に事故!整形にてむち打ち・肋骨骨折と診断

事故にあった時の感想

車の運転中、青信号で交差点を通過しようとした時に、いきなり反対車線の右折待ちが発進してぶつかってしまいました。明らかに右折待ちが出られるような状況ではなかったのに出てきたので、避けることもできませんでしたよ。

会社の交通事故報告をよく聞いていましたので、起きることにはある程度注意していましたが、実際起きてしまうと悲しいやら腹立たしいやらで、言葉になりません。

事故直後の状況

衝撃で首がガクガクと激しく揺さぶられ、ハンドルが胸に思い切り当たりました。痛みはありましたが、警察や救急車を呼ぶなどの冷静さは意外にありました。その後すぐに病院に行き検査したところ、「右第6~7肋骨骨折とむち打ち症」と診断。

まさか折れてるとは! 病院の先生に「息を吸ったり、吐いたりする時、少し痛みますよね?」というので、冷静に確認してみると確かに痛む。まぁレントゲンとればすぐわかる話ですが。

時間の経過とともに痛みが!

昔殴り合いのケンカをしたときに、手の甲の骨を骨折したことがあります。すこーし痛いなぁ~。ぐらいだったのですが、時間とともにじんじんする痛みに変わっていきました。

今回の首の状況がそれに似ていて、時間が経つと痛みが強くなっていく感じ。前日より明らかに痛みの感覚が鮮明になってきました。

首は色々な方向に動かすのが痛くて、胸は呼吸と体を捻る時に痛みがありましたね。肋骨は折れたけど特別、整復(骨の位置を治すこと)はしないそうです。折れた骨が内臓に刺さったりすれば手術をやるらしいですね。まぁ刺さったままでは命の危険がありますからね。そりゃぁ緊急処置が必要でしょう。

初めの処置内容

初めの内は肋骨をバンド固定してました。趣味・仕事・遊びもしばらくはできません。悲しすぎる!

ですから、通える限り毎日治療へ。短期集中で多くしてあげる方が治りも断然早いそうなので頑張りましたね。まぁー先ほど仕事と言いましたが趣味みたいなものだし、ほとんど引退してるので暇ですから、毎日治療に行きました。早く良くしてゴルフをやりたいですから。

治療していたら違う部分に痛みが!

治療して7日ぐらい経った時に、左手にシビレを感じました。今までこんなことなかったので、事故が原因と思い保険会社さんにその旨を連絡して、「病院に行っていいですよ」と言われたので行ってきました。

MRI検査をしたところ、頸椎の5番目辺りで神経を圧迫していると言われました。シビレは事故による衝撃が根本的な原因ということで、その影響で神経症状が発症。

シビレは厄介でしたねー。普通にテレビ見ながら安静にしてても出てくるし、動いてる方が気が紛れるのですが肋骨のこともあり、余り動けなかったからじわじわ出てきて気持ち悪かったですね。正座して足がシビレたようなやつが常にある感じですから、かなり鬱陶しいですよ。

痺れに対する対策をスタート

1ヶ月半経ち、肋骨も全快し、頚部も問題なく動かせますが、シビレ感がまだ残ってました。本当ならこういう神経症状が出てくる場合は、「牽引」と言って首を引っ張って治療する方法もあったのですが、肋骨が折れてた関係で出来なかったらしいです。でも、肋骨が全快したのでやっと牽引が出来ました。

人によっても効果の出方が違うのですが、私には合ったみたいで牽引をしてからの方がシビレ感が減ってくのがわかりました。

2ヶ月半経ち、シビレ感もなくなり治療が終了しました。周りから「すごい長引く」と聞いてたので、おっくうな気持ちでいましたが、早期の適切な治療により、結果的に想像より早めに完治。現在は何事もなく生活できてますので、とても感謝しています。今回、初めて知るものが多かったですね。

ケガのことはもちろんですが、保険会社さんとの色々なやり取りも知らないことだらけでしたね。

最後に当院での施術について

今回は症例の一部を載せましたが、これ以外にも様々な症状があります。レントゲン検査で簡単に診断され、軽視されてしまうことも多いので悩ましいところです。

当院ではエコーや問診、視診、触診、徒手検査を駆使し、画像ではわからない症状も見つけ、対処していきます。ケガした時に対処しないと「治るはずのもの」が後遺症として残り、その後もずっと付き合っていくこともあります。これは絶対に避けなければならないことですよ。

当院も過去の症例と重ね合わせ、多角的に対応をしてきたことで、着実に実績を積み上げている。そう感じています。どんな些細なことでも気軽に相談ください。

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